2021年 新年会長あいさつ
新年あけましておめでとうございます
この度、新型コロナウィルス感染症に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。また、困難な状況の中で事業継続に腐心されている多くの塗装工事業者の皆様におかれましては、一日も早く事態が収束し、正常な社会に戻ることを願うものです。
さて、我々の生活が一変し1年近く経過しましたが、この1年は我々の叡智が試された1年とも感じました。何とかこれまで対面で行っていたものを何とかオンラインにより代替できないか、オンライン化を機にこれまで以上に我々の活動を広げることができないか、試行錯誤はまだ続いていますが、新しい日常が今そこにある以上、我々も変化に対応していく所存です。
業界のことを振り返ってみると、昨年から建設キャリアアップシステム(CCUS)の本格稼働が始まり、それに伴い、レベル1からレベル4までの技能者の評価基準を示し、該当する技能者はレベル判定システムを経てレベルを上げていく仕組みが構築されました。本会では有為な人材が見落とされることのないよう、各種資格や就業日数の精査を行い、建設塗装能力評価基準を策定しました。まだ利用者は少ないようですが、資格や経験が基準を満たせば積極的にレベル判定を受け、レベルアップを図っていただきたいと思います。
CCUSについてはすでに報道されている通り、当初の見込みに対して利用が伸び悩み、またシステム開発の目論見の甘さもあり、利用者にあっては登録・利用料金の値上げ、建設業団体にあっては追加開発費への出捐が要請されるなど、見通しは楽観できません。特にカードリーダーやそれに代わるスマートフォンなどを利用した現場情報の蓄積が今後の普及のカギとなると考えております。今後も、引き続き国土交通省やゼネコン団体に対しては我々の要望を折に触れ申し述べてまいります。
CCUS関連では、不良・不適格事業者との差別化、適正な競争環境の整備を目指す「専門工事企業の施工能力の見える化」についても会議にオブザーバーを派遣し情報収集に努めています。「見える化」評価は早い業種では4月にも始まるとも聞いております。業界が健全に持続的に発展していくための仕組みであれば積極的に協力するところではありますが、現状、評価の活用方法など、実用性に乏しいと感じるところもあります。拙速にことを進めること無く、慎重に検討してまいりたいと思います。
もう一つ大きな課題は特定技能外国人の受け入れです。昨年、建設塗装における業務区分・試験区分を国土交通省に提出し、正式に受入れに向けて動き始めました。現在は準備委員会を立ち上げ、海外での訓練や試験実施に対するコスト面でのシミュレーションや、研修プログラムの作成、受益者負担の枠組み構築など検討を行っているところです。いつ職種追加の決定がされても良いように準備を進めてまいります。
本会事業においては、本年度は人材育成と技能継承を目的にその「技」を競い合う全国建築塗装技能競技大会を開催する予定でしたが、誠に残念ながら中止といたしました。また、5月に大分県で開催予定だった全国大会も同じく中止といたしました。大変つらい決断が続きましたが、これまで準備に携わっていただいた多くの方々の御努力に衷心より感謝を申し上げます。再開に向けては、新たな体制作りや運営方法の検討など着々に続けてまいります。
本会はこれまで通り、塗装工事業界の唯一の全国団体として業界の地位向上、発展のために、今年も積極的に事業に取り組み、展開してまいります。会員の皆様をはじめ関係各位のご理解と一層のご支援をお願いいたしますとともに、今年一年のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
一般社団法人日本塗装工業会
会長 北原 正